克明なふたつの夜
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長いよー。

井浦秀夫小学館漫画賞受賞記念パーティー@青山スパイラル
スパイラルホールではなく、5Fのレストランだけどね。
そらそうか。

『弁護士のくず』で52回小学館漫画賞を受賞された井浦先生は、
何を隠そう漫研の先輩である。
もっとも10歳上なので現役時代はかすっていない。
っていうか今回初めて10歳上だって知った。
今年で52ですよイウラー。ぜんぜん老け込まんねこの先生も。

授賞式は帝国ホテルで賑々しく行われたそうで、その後の二次会である。
パーティー告知のFAXに当日まで気づいておらず、
誰が来るのやら何もわからないまま顔を出してみた。
来ない人は二人も知ってたのに。

来賓は漫画家と各メディア関係者と漫研関係者と、
あと弁護士関係とAV関係の方々だった。
後半は彼の作品を想起して頂ければよろしい。
福本伸行・本そういち・木山道明といった先生方は、
種類を問わずパーティーの常連である。
目立つし。特に後の二人。
そういや福本さんに「日高さんは相変わらずいい味出してるねえ」と言われた。
他人のこと言えた義理か。
たぶんご自分がどのような深いコクと味わいを醸し出しているか、
まったく判っておられないに違いない。

漫研関係では久しぶりにさそうあきら先輩に会えて嬉しかった。
ひとしきり昆虫談義をする。
今年はルリボシカミキリを見に行こうと誘われた。わあい。

やまさき十三先生だったか、
スピーチで「井浦さんは真面目で誠実な人だ」と評していた。
当たっているようなそうでもないようなだなあと思ったのは、おそらく私だけではあるまい。
確かに真面目で天然で素朴な人柄なのはその通りだ。いつも腰低いし。
しかしそれだけでは人は漫画家にはなれない。
なったとしても賞は取れない。
あれは実に妙な人である。
なんせカンを3回すると手牌がなくなるような方だ。
「目の前のことしか見えてないんでしょうねえ」とは、とある失礼な参加者の言葉である。
俺が言ったんじゃないよ。

ただ、井浦さんはその見えている目の前の範囲に対しておそろしく真摯で誠実なのだ。
たとえチョンボかましても。

『弁護士のくず』が、独学で法曹界を調べあげた持ち込み企画だという事実は、
彼の作家としての得難い資質のすべてを物語っている。
凄いことだと思う。
今回の受賞はその努力に対する正しい評価に他ならない。
おめでとうございます井浦さん。
ほんと嬉しそうだった。
講談社漫画賞のときの福本さんもそうだったけど、
人が自分の仕事を評価されて素直に喜んでいる様子はいいものだ。
おすそわけを頂いた気持ちになる。
「こんなに褒められたのは初めてです。一生一度のことだと思います。
いい冥土の土産になります」と本気で言ってたし。

AV関係の出席者の中に中村京子嬢の顔を見かけた。
嬢っつっても私より年上だけどな元祖Dカップ女優。
でも20年前に女相撲とか仕切ってた頃と全然変わってなかったよ。
「あれ中村京子じゃないかな」と周りの誰に言っても通じないので、
わざわざ主賓井浦先生に確かめました。
「よく知ってるねー」と心から感心されたさ。
およそ人生の役に立たない知識ならお任せ下さい。

帰りに永田町の駅で乗り換えを10分ほど待っていたら、
「新木場ゆきがまいります」と言われてホームが逆であることに気づいた。
アナウンスって大事なんだな。


平沢進ライブ「PHONON2550」@恵比寿リキッドルーム。

ヒラサワというのは元々P-MODELというバンドのフロントの人である。
四半世紀を越す芸歴をいちいち説明はしないが、
テクノシーンの割と重要な人物のひとりだってことになっている。
特にP-MODEL初期のDEVOにも通じるパンクテクノな音は本邦では他に類がなく、
後に有頂天などのフォロワーを生み出した。

バンドは数回のメンバーチェンジを経て休眠状態に入り、
21世紀に入って以降はもう完全にソロの人だ。
レーベルも個人で立ち上げて好き勝手やり放題。
好き勝手が嵩じてもうまともなライブはしばらくやっていなかった。
ここ数年は『インタラクティブ・ライブ』と称するステージアクトを行っている。
観客にさまざまな電子的インターフェイスが用意されており、
その反応によってダイレクトにステージ展開が変化してゆくイベントだ。
いわば双方向通信、ライブコンサートにおけるユビキタスを実現してみせたわけで、
一部に異常に高い評価を受けている。
2001年には(財)デジタルコンテンツ協会と経済産業省の共催する
「デジタルコンテンツグランプリ2001」において、
経済産業大臣賞及びエンターテイメント部門最優秀賞を受賞したそうな。
バーイ・ウィキペディア。

つってもたとえば私は単純に彼のギタープレイとかが好きなので、
その辺の凄そうな活動っぷりにはいまひとつ食指が動かなかった。
すみませんそこまでコアなファンじゃないです。
いちばん愛聴してたのは1985年前後のP-MODELなんだよ。

それでも独特の平沢節にはやっぱり愛着があり、
映画『パプリカ』観てて主題歌が流れたときは、
ちょっとニヤニヤしちまったものである。

そんな平沢進が何を思ったか久々に普通のライブをやるという。
せっかくなので腰を上げてみた。

普通とはいっても既にテクノの人だ。
演奏の殆どはオートシークエンスであり、サポートメンバーは誰もいない。
言ってみればカラオケである。
ただしステージ上にはキーボードとギターと、
あと自作の怪しげな楽器グラビトンがセッティングされている。
これは自転車の車輪がついたシンセサイザーで、
要するに車輪を回すことで発生する電気で演奏される楽器なのである。
変なエコロジー趣味の結晶だ。
いいから普通にギター弾けよ。
画像参照。柱の影であまり見えなかったんでテキトーです。

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で、内容ですが良かったっすよ。
「おっさんのカラオケか」と思って期待してなかっただけに。
やっぱり伊達に30年ミュージシャンやってねえよなあ。
1985年P-MODELの名曲『サイボーグ』を演ってくれたのは望外の幸福。
『オーロラ』のデストロイなギタープレイはパンク時代を彷彿とさせたし。
『白虎夜の娘』ではパプリカのOPシーンが鮮やかに甦ったし。
ご来場の今敏監督も満足したに違いない。

某所でアップされていたセットリストを補完転載。

嵐の海
オーロラ
キャラバン
サイボーグ
時間の西方
白虎野の娘
赤化(ルベド)
死のない男
ナーシサス次元から来た人
生まれなかった都市
広場で
スノーブラインド
万象の奇夜
ハルディンホテル
山頂晴れて
救済の技法
town-0 phase-5
quit
賢者のプロペラ3

正味2時間弱のオールスタンディング、なんとか腰も痛めずに完走したぜ。

平沢師匠最後の挨拶。
「今日の演目はすべて終了しました。とっとと帰りなさい」

とっとと帰って爆睡しました。
【2007/03/04 16:26】 | 未分類 | page top↑
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