極彩色の殺戮者
自然界において温度と彩度は比例する。
殺人的な気温の上昇と共に、フィールドはその色彩を深めてゆく。
150730001.jpg

なんでか両手を前に突き出しているマユタテアカネは、でもまだ紅くない。
150730002.jpg
見合って見合ってーみたいな手つきではある。
でも土俵に付いてないので木村晃之助に怒られるぞ。

出始めたときにはあんなにせわしなく飛び回っていたコシアキトンボの雄。
夏が深まるにつれ次第に休みがちになる。
150730003.jpg
歳くって無理が利かなくなるんですかね。まあ、ほどほどにね。

苔むした石灯籠にまだ尻尾の残る若いアマガエルが登っていた。
150730004.jpg
顔がカエルになりきっておらず、オタマジャクシの面影を残している。
童顔ってやつかね。

こちらはそんなアマガエルのかるく5~6倍はあるウシガエルのオタマたち。後足だいぶ伸びましたな。
150730005.jpg
ドテッとした風貌はむかしの漫画に出てくるいじめっ子っぽい。
バックトゥーザフューチャーのお父さんを苛めるビフとかさ。むかしの漫画じゃねえな。
成長するとあんな図体でかいだけのビビリになるのも、なんだかむかつくウシガエルである。

まあカエル社会は殿様もそれなりにビビリなんですけどね。
150730006.jpg
宮沢賢治の世界ではこんなのがカイロ団長として君臨しておるのだ。
水木しげる御大がコミカライズした同作は必読。

賢治つながりで青いくるみだ。
150730007.jpg
この緑いろの実の中にあのモニャモニャした形のおおきな種子が詰まってるんですよ。

カナヘビ「へー」
150730008.jpg

ニイニイゼミの抜け殻はかならず乾いた泥に覆われている。
150730009.jpg
ちょっと前にtwitterでそんな話をしていたのだが、土の中にいるのだから泥まみれでも不思議ではない。
しかしするとアブラゼミをはじめ他のセミの幼生のつるんとした外観はあれはなんなのだろう。

カマキリ幼生「なんですか」
150730010.jpg

150730011.jpg

水浴びにやってきたすずめさん。
150730012.jpg

「どりゃー」ずぼっ。
150730013.jpg

ナミアゲハが吸蜜に訪れた花はヒゴタイかな?
150730014.jpg
よく見ると前翅と後翅で色味が異なる。前翅の薄墨っぽい感じがなかなかシックだ。
シックでは病気になってしまうスィックが正しいと言ったのは(前回7/19付の日記参照)

神崎風塵流、胡蝶の舞!(cv:富沢美智恵)
150730015.jpg
こういう写真撮るのたのしい。

ねむの木に訪れたジャコウアゲハ。
150730016.jpg
こっそり胴体部分の毒々しい赤黒のカラーリングは正しく毒蝶の証。
つっても食べなきゃ大丈夫なので昆虫食趣味のない方はご安心を。

一度ジャコウアゲハを口にした捕食者は、死にこそしないが二度と本種を襲うことはなくなる。
このため、ジャコウアゲハを装うことで捕食の危険を回避しようとするチョウ・ガの仲間が複数存在し、このような擬態をベイツ型擬態と呼ぶ。
キャシー・ベイツとは関係ない。きっと。たぶん。

150730017.jpg

オミナエシの花に拠るかわいらしいトックリバチの仲間。
150730018.jpg
トックリ状の巣をつくるからトックリバチや。

大学の校舎横の並木でヒグラシが涼しげな声を響かせていた。
150730019.jpg
「濡れた指でグラスの縁をこするような音」という表現が好きだ。

あっさり捕獲さるるの巻。
150730020.jpg
しかし一旦つかまるとウギャー助けてコロサレルとばかりに暑苦しくジージー泣き喚く。
だったら最初から警戒しろっつうの。なんぎな蟬やでホンマ。

右手からけたたましくブザー音が鳴り響く怪しいおっさんに、通りすがりの学生諸君が異な顔をしている。うるさくしてすみません。
数カット撮ってただちに放してやった。今後は気を付けなさいね。

虫たちに大人気のフジウツギの花穂。
150730021.jpg
この日のお客さんはキアゲハでした。ナミアゲハより黄色いのがお分かりだろうか。

いつ見てもダンディなクロイトトンボ。
150730022.jpg

フウリンブッソウゲはハイビスカスの仲間です。
150730023.jpg
風鈴仏桑華の漢字名も素敵。

150730024.jpg

これも大学の校舎横の植え込みにぶら下がっていたウスバキトンボ。
150730025.jpg
今頃はあちこちで群舞がみられ、飛んでいるときは本当に休まない。
長い旅をすることで知られており、そのダウンサイジングに徹したボディは屈指の飛行能力を有する。
夕方なので眠ろうとしていたのかもしれん。邪魔してごめんよ。

水を飲みに来たカラスアゲハは、ややくたびれ気味ではあった。
150730026.jpg
傷んだ翅は、それでもなお美しい光沢を放っている。

はいここで今回のハイライト。
その姿を求めてほぼ1ヶ月探し回っていた極彩色の殺し屋に、やっと会えた。
150730027.jpg

ハンミョウ(ナミハンミョウ)。
「斑の猫」という名前を持つこの甲虫が、子どもの頃からずっと憧れだった。
ハンミョウ一家の本邦最大種だが、それでも2センチくらいしかない。
したがって、こんなに派手な虫なのにじっとしていると仲々気が付かない。
目の端をぷいーんと掠める影を探し、地面に降り立ったところを急ぎ追いかけて撮るのが定法だ。
この、歩行者の先へ先へと1~2メートルづつ細かく飛んでゆく行動ゆえに「道教え」の異名を持つ。

ひとたび大地に立つと長い脚で走り回り獲物を探す。
150730028.jpg
英語圏の人たちは敏捷な狩人にTiger Beetleの名を与えた。
美しい狩人である。

なんだかんだで決して珍しい虫ではなく、ここ数年くらいはもう毎年会っている。
それでもやっぱりいつも心ときめくし毎度こうやって変わり映えのしないポートレートを撮っている。
150730029.jpg
もはや撮らされていると言うべきかもしれない。

ハンミョウに会えたらもう夏だ。
そして大学は夏休みに入る。

後期授業がはじまるまで、千年古都ともしばしのお別れだよ。
150730030.jpg
【2015/07/30 23:06】 | ネイチャー | page top↑
| ホーム |