夏休みの景色
前回紹介したイーブックジャパンの宮内悠介さんとの対談。
http://www.ebookjapan.jp/ebj/content/sakuhin/415436/index.asp
の、続編というより本編に近い対談が、8/10発売の東京創元社『ミステリーズ!』に収録されますのです。
http://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488030841
表紙に名前載っててビックリしました。
『エクソダス症候群』文庫化のタイミングで、ふたりして東京創元社についてあれこれ語っております。日高による2Pの描き下ろし漫画もついてお得です。
芳崎せいむさんや喜国雅彦さんの連載漫画も読めるぞ。

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さて前期授業が(だいたい)滞りなく終了したので、京都に通う日々もいったんお休み。いきおいこちらの里山に狩場を移す仕儀と相成りました。
勝手知ったる東京の夏ではあるが、どうにも天気がよろしくない。
梅雨の間は遠慮なく真夏の日差しが降り注いでおったのに、明けた途端に曇りマークの羅列になりよった。おかしい。話が違う。
といって、黙って晴天を待っていては夏が終わってしまう。
生きものの暦というのは存外パンクチュアルなものだ。
なんぼ冷夏でも冬羽のユリカモメは出てこないし、いくら暖冬でも12月に鳴くツクツクボウシはおるまい。たまにいたりするけど例外のない法則というのはないから気にするな。
とまれ、意を決して外に出た。晴れてなくても必要十分に蒸し暑い。ああ夏だ夏。
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盛夏の使者アブラゼミ。
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なんだか「らしくない」場所にいるのは羽化して身体を乾かしていたためと思われる。右の方に抜け殻がそのままになっている。
服を脱いで片さないからな、せみは。

ここんとこ毎年会ってる気がする、葉裏に休むオオトリノフンダマシ。ええと、クモです。
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こう見えて夜になると一風変わった網を張り、蛾を専門に狩るハンターだと伝え聞きます。
まあ昼間しか会ったことないもんで、聞いた話ですよ。

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ミソハギの花に遊ぶマメコガネ。
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こう見えてかつては密かに渡米して農作物を盛大に食害し、現地の対日感情をひどく害した前科者らしいですよ。
ええこれも聞いた話ですけどね。

同じくミソハギにやってきたトモンハナバチ。
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トモンは十紋で、お腹に左右5つずつ2列、合計10個の黄色い斑紋があることに由来する。
ところがどっこい雄はこれが左右に6個ずつある。写真は男の子なので、よーく見ると12紋あることがわかるよ。
ジャイアント馬場は16文キックだよ。いまどきのお子には何の話かわからんよなもう。

まだ赤くなってないけど、ちょび髭があるこれはマユタテアカネですかね。
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アシグロツユムシのこども。
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繊細なガラス細工のようで美しい。

これもおそらくツユムシ類の終齢幼虫。あと一回の脱皮でおとなの階段を昇るよ。
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柔らかな緑色は見事に葉っぱに溶け込んでおります。

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クマゼミごつい。声もでかいし存在感すごい。
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おまけに大量のしっこをたれて飛び去りよった。いろいろ圧倒してくる。
今や関西方面の夏をワシャワシャとはげしく席巻しておる種類であるが、こちらではまだそんなにメジャーな存在ではない。
でも他のいろんな生きものみたくどんどん北上してくるんですかね、いずれ。

イチモンジチョウ正面図。
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翅の表側はちょっと地味めだが裏がなかなか伊達者なのな。
ダークスーツの裏地に金の虎が刺繍してあるとかそういうノリだ。嫌だな。

お尻の赤いハサミが目立つハサミツノカメムシ。
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ハサミがあるのは男の子だけです。牡鹿の角がお尻についてると思えばよろしい。

ヒメギスのカップル。
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手前が雄で、奥のアウトフォーカスになってるのが雌。ぼんやり産卵管が見えます。

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イモリの発生数は体感的に年ごとのムラがある気がする。
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2017年は当たり年ってことで。

レンゲショウマ。漢字では蓮華升麻。
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独特の雰囲気で人気の高い日本特産一属一種の山野草。これは公園の植栽です。
俯いて咲くもんだからたいがいこういうアングルのこういう写真で紹介されている気がする。

曇天続きにしょんぼりした様子のホオジロ。
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むろんしょんぼりしているのは単なる顔の模様で、当の本人は至ってげんきいっぱいです。たぶん。

地べたに這いつくばってこれを撮っていて、通りすがりの男性に小声で「何がいるんですか」と尋ねられる。
たまたま同定できたので胸を張って「クルマバッタモドキです」と答えたのだが、彼はとくにそんな標準和名が知りたかった訳ではないと思う。
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「バッタです」で十分だったのでは。もっと言えば珍しくもなんともないごく普通のバッタです。
でも気を使って下さってありがとうございます。おかげで呑気そうな一枚が撮れましたよ。

ドテッとしたヤマアカガエル。
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ニホンアカガエルはもちょっとしゅっとしている気がする。

アオハナムグリ。コアオじゃないよ。
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これも改めて見るとえらい綺麗な普通種だと思う。

ヤノトガリハナバチ。
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これは以前にハチの師匠であるcoco先生に教わった種類。
やっぱり現場で実物を見て教えてもらうと(わりと)覚えるものだ。覚えられないときは教わる側の脳容量の問題ですすみません。
ドリルっぽいお尻が特徴なのだが、今回ちょっと可愛いめのショットを選んでみた。
ほかのハキリバチに寄生する寄生蜂なんですけどね。

そしてこちらも美しい寄生蜂、ルリモンハナバチ。
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検索すると幸せの青い蜂などドリーミーな二つ名がついてきたりしますが、寄生蜂です。
ちなみに前の方で紹介したトモンハナバチも他の蜂に寄生して育ちます。
いや寄生しないハチもたくさんいますよ。たまたま今回は寄生蜂オンステージになってるだけです。たまたまです。

スケバハゴロモとアオバハゴロモの羽衣呉越同舟。
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両者とくに仲が悪いという話は聞きませんがなんとなく。

カナヘビくんはほんと擬木が好き。
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ハグロトンボ御開帳。
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上の方でハエさんも見とれておりますな。

小さいコクワガタを拾うの巻。
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コクワというのは小さいクワガタなんですが、その中でもミニな男の子ですねこりゃ。
※スジクワガタではないかとのご指摘を頂きました。コクワさんスジクワさんごめんなさい。七節先生ありがとうございます…(おじぎ

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樹の抉れたところでごそごそするクロスズメバチ。
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土の中に巣を作るこの小柄な蜂が、あのおっかないスズメバチの仲間ということになってるのがどうも納得が行かない。
この人たちのこどもがいわゆる「蜂の子」です。

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かぶとむし豊作。
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これは1頭がのどかに樹液を啜っているところに、他の樹にいた1頭を人為的に連れてきちゃったの図です。
夏休み男子としては、さあ喧嘩するかなワクワクと思っておるわけです。
ところが彼らはまったく争う気はなく、驚くべきことに譲りあって平和裏になめなめしているのでした。実に大人です。
けしかけようとしたこちらが大人げなかった。どうもすみません。

とはいえ、喧嘩しなくてもこの堂々たる恰幅と面構え。
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自然の中で出会うと、これは昆虫の王様であるなあとしみじみ思う。

こちらはちょっとふとましい彼女と小柄な彼氏のカップル。
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いわゆるノミの夫婦というやつだ。カブトムシだけど。

このポイントで人気があるのはヤナギの樹液です。
おなじみゴマダラカミキリ氏も長い手足を振り回してどたばたと幹をのぼっております。
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ハキリバチ可愛い。
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バラハキリバチかなと思うけど断定は避けておくのだ。

気の早いツクツクボウシ。
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惜しいつくつくの声が聴こえると夏も終わりかと思うのだが、8月アタマはちと早すぎないか。
小柄で格好がよく、セミ的にはたいへんプロポーションのよい種類だと思っている。

鈴なり。これは人為的な光景でなく、この樹にはあと1頭、都合4頭の雄が群がっていた。
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カナブンやスズメバチといった他のお客が来てないのが不思議な、カブト王室御用達のヤナギの樹だった。
なんだか子供の頃に夢見た景色です。当時はついぞ見たことがなかったけど。

そんな今年の夏休み。
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こんな風景の中で集められたフィールドワーク的聊斎志異。
ハチ師匠coco先生・玉川数両氏との共著『里山奇談』も引き続き宜しくお願いします。礼。
https://www.amazon.co.jp/dp/4041050782
【2017/08/08 03:36】 | ネイチャー | page top↑
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