六月下旬・関西方面の生物紀行(一)
六月下旬、すこし関西を経巡っていた。
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みちみちのツバメの巣は奈良のひがしむき商店街で出会ったものだ。
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育ちすぎて明らかにおうちが手狭なので「はよ巣立ったらどうか」と苦言を呈しておいたら、

翌朝2羽が巣立ってそのへんをへろへろとへたくそに飛び回っていた。
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何度でも感心するが「くちばしの黄色い」とはよく言ったもので、嘴を縁取るようにある黄色い馬蹄班は幼鳥の証である。

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「京阪乗る人、おけいはん。」という京阪電車のコピーはけっこう好きだ。

さて奈良といえば鹿である。
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市中どこにでもという訳ではないが、興福寺のへんから東大寺~春日大社あたりまでの奈良公園一帯には割とふつうにうろうろしている。
大型哺乳類が県庁所在地の日常に跋扈している状態というのは少なくとも日本国内では他に例を見ない。
冷静に考えると相当にふしぎな眺めだ。

この季節は繁殖期なのでバンビちゃんにも出会える。
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鹿の顔は優しい。黒目がちで睫毛がながいからね。

六月にはとくに赤ちゃん鹿を鹿苑に集めて一般公開している。
この日はちょうど誕生直後の仔鹿がおり、母親に胞衣を舐めとってもらっていた。
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何度もがんばって立ち上がろうとしていたが、私の見ている間には無理だった。
一時間もすれば歩けるものらしいので、本当にうまれたてだったのね。

飛火野にて。興味とうさんくささの相半ばする表情で対峙された。
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基本的には温和だし人慣れしている奈良の鹿だが、決してペットではない。
繁殖期の野生動物には余計なちょっかいは出さない方がよろしいです。念のため。

さて奈良訪問は生涯5~6度目くらいだが、なんだかんだでずっと会えずほんとに長年の懸案だった相手がこの青い虫だ。
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ルリセンチコガネ。
東京で普通に見られる赤紫色のオオセンチコガネの、このへんに棲む地域個体群である。
いやあ青い! 青は藍より出でて藍より青しと言うが、なんかそんなような色彩だ(てきとう)。

翅を開くと今度は腹部が鮮やかなメタリックグリーンで度肝を抜かれる。
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まあ知ってる人はご存じのようにセンチコガネは雪隠黄金なので、そういった類の昆虫ではある。
しかし個人的には、この仲間に限って言うと一度もばっちいと思ったことがない。
とっても美しい自然の造形物に見える。宝石つってもいい。
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今回この1頭しか会えなかったが、機会があったらまた探してみたい。
おらあ幸せでしたよ。

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「うひゃひゃひゃひゃ」「けけけけけけ」

場面は変わって6月は水田が稼働し始めるシーズンだ。
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覗き込むとオタマジャクシと無数のミジンコ、ホウネンエビが泳ぎ回っていた。
生命のたっぷりとした田んぼは楽しい。状況が許せば丸一日でも畦道を歩き回っていたい。

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カワトンボの仲間のシルエット。翅が重なってみえるのは均翅亜目ゆえ。

アジサイの葉に細くて赤いトンボが留まっていた。
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アカイトトンボだ。ちゃんと認識したのは実は初めてだが、気づいてないだけで今までにも会ってるんだろうな。

ガクアジサイの装飾花に翅を休めるトラフシジミ。
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チョウ関係は決して詳しくないので、
現場では「ああヤマトでもゴイシでもウラギンでもないシジミがおる」程度の了見で撮影している。
帰ってから海野和男さんの身近な昆虫識別図鑑で同定した。海野先生ありがとう。

クマバチの女の子がぶらぶら。
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セグロアシナガバチさんはしゅっとスリムなので、花が重みで下がるようなことはありません。
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美しい萌葱色のクモはサツマノミダマシ。
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なにがノミなのだろうと首を捻っていたら「サツマの実・騙し」らしい。
ハゼノキの果実の地方名「サツマの実」に似ているという意味なのだとか。

そしてカナヘビさんの肖像にて一旦打ち止め。
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来週更新(予定)の(二)に続きます。
【2015/06/27 01:24】 | ネイチャー | page top↑
水無月上旬・京都の虫やら花
京都滞在日の朝、たまたま晴れたので授業前に植物園に寄る。
あじさいの季節だ。
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ショウジョウトンボのあざやかな赤が蓮田のやわらかな緑に映える。
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本種を見た10人のうち9人までが「赤とんぼだよ!」と嘆声を上げるのだが、
めんどくさいことを言うとアカトンボというのは通常ナツアカネやアキアカネ等のSympetrum属を差すので、
Crocothemis属のトンボであるショウジョウトンボは該当しない。
しかしこんなに真っ赤なトンボもなかなか他にいないので、別に訂正することもないと思う。
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初夏の早朝、「ぽん」と音を立てて咲くといわれる蓮の花。
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泥の中から生えて大輪の美しい花を咲かせることから仏教の方でたいへんありがたがられるお花であるが、
「これ根っこはレンコンだよな」と必ず思ってしまう私に大悟の道は程遠い。

シオカラトンボの雌。通称のムギワラトンボはこの虫の特徴をよく表した呼び名だと思う。
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正午に向けてぐんぐん気温の上がる晴天の水辺はトンボ天国の様相を呈した。
ただ、この週は前日が雨天だったこともあり心や撮影の準備をしておらず、機材は"一眼っぽいタイプの"ミラーレス一台である。
最近のEVFは驚くほど高性能だが、高速飛行中のトンボを捕捉するのはなかなか厳しい。
一眼のミラー越しのファインダーでも難しいのにさ。まあ私の腕の問題でもあるんだけど。
したがって、獲物は止まっているトンボばかりである。
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大好きなクロスジギンヤンマが一頭ずっとパトロールしており、何度もチャレンジしたのだがあかんやった。

その点、こいつはすぐ休むのでありがたかった。今季初見のチョウトンボ♂。
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ただしお気に入りの休憩所が岸からちと遠い。 これは200ミリ望遠で撮ったものをトリミングした一枚。
まあ、シーズンはまだ始まったばかりなのでまだ会う機会もあろうよ。

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ガクアジサイの中心に陣取るちまちました両性花(周辺の派手なのは生殖機能のない装飾花)は、
いかにも虫たちのお気に入りな雰囲気だ。
花に遊ぶセイヨウミツバチならEVFでもだいじょぶなんとかなる。もちろん失敗もしてますけど。
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これがクマバチさんの飛行となるとなかなかミツバチのような軽やかさはない。
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重たすぎる身体を「よっこらしょ」と無理矢理ちいさい翅で持ち上げている感じになる。
確かそのへんのからくりを研究した学説があった気がするけど忘れましたすみません。

この可愛らしいのはコハナバチのなかまですかね。
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上のクマバチ女子と同じ花なので大きさを比べてみてほしい。ちっちゃいぞ。

こちらの薄紫色のジシバリみたいなのは何のお花でしょう?答えはWebで。
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はい正解はチコリーでした。あのバルタン星人のハサミみたいな野菜ね。
キクニガナという和名を思うと得心のゆくお花の造型です。

これはマクロレンズを手にしてお花畑に来た人が一度は撮ってしまう作例写真ですね。
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FUJINON XF60ミリマクロ f2.4開放での撮影。

葉の上できもちよく睡眠中のあまがえる先生を捕獲。
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たいへん不本意だったようで、すごいふくれっ面をされた。
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この一葉を撮影した後、謹んでお帰り頂きました。まだちょっと怒ってる感じだった。

人なつこいミスジチョウの一族の、これはおそらくホシミスジ。
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近寄りすぎて咄嗟にピントが合わせづらいのでもうちょっとパーソナルスペースを守って欲しい。
嬉しいけどさ。

お食事中のコオニヤンマ。
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シフォンケーキを食べた子供よろしく白い粉だらけだが、これは獲物のモンシロさんの鱗粉なので意外とスプラッタである。
最終的に翅は捨ててた。

いつも5~6月にラミーカミキリが出る大学近くのカラムシの薮を探したら、カミキリでなくカマキリがいた。
尋常でなく小さい。
でも、不完全変態なので姿かたちはなまいきにカマキリだ。
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このサイズじゃアリマキくらいしか獲れない気がする。がんばって育つんだよ。

ソフトクリーム喰ってたら「おれにもくれ」の人が来た。
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ワッフルコーンを砕いてすこし分けてあげる。
慣れているのか食い意地が張っているのか、ほとんど手渡しで受け取らんばかりだった。
すずめはたくましいな。

春から夏にかけて日ごとに移り変わってゆく生物相。出来るなら毎日出かけてしまいたい。
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とはいえなかなかそういうわけにもゆかないので、こうして機会があるときにふらりとね。
早くハンミョウ出ないかなー。
【2015/06/14 20:01】 | ネイチャー | page top↑
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