ゴートゥー台風キネマ
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台風が来たのでやっと意を決して見に行きました。
デトロイト・メタル・シティ。
http://www.go-to-dmc.jp/

封切は8月23日だったんで、結局ほぼ一か月の遅れになってしまった。
不入りだったら上映打ち切られてるところだよ。
そういうわけなんで興行成績は上々らしい。
3週目で100万人突破したとか。
めでたいこっちゃ。
ええ景気の良い話はなんでもめでたいです。

以下、公開からそんだけ経ったってことで若干のネタバレ込み。
未見の方はご留意下さいのこと。

とりあえずの結論としては、面白かったよん。
レイトショーで1200円だったけど、
別に通常料金で観てもおらあ損したとは思わなかっただろう。

ただし「?」をつける原作ファンがいるってのもわかる気がする。
根岸君とクラウザーさんが完全に分離し切れてなかったり。

なんの予備知識もない人のために簡単に説明すると、
このお話の主人公の根岸崇一君という人は、
渋谷系大好きでおしゃれライフに憧れる軟弱青年なのですが、
悪魔系デスメタルバンド「デトロイト・メタル・シティ」のギター&ボーカル、
クラウザーさんに扮すると地獄の使者になってしまうのです。
普段『アメリ』とか観てナヨナヨしてる人が、
「レイプ」とか叫んで歯でギター弾いたり客に痰吐きかけるっていう。
まあ立派な二重人格者ですね。

そういう意味では、
根岸とクラウザーでキャスティングを変えているアニメ版の方が、
原作コミックのテイストには近いです。
ビバうえだゆうじ as ヨハネ・クラウザーII世。

一方、松山ケンイチというひとりの俳優が演じ分けた映画版は、
いわば漫画の設定に忠実なんだけれども、
そこまできっちり人格が乖離していない。
クラウザー顔でヘタレこいちゃったりするわけで、
愛読者にしてみれば今いち「クラウザーさんカコヨクナイ!」らしい。

もっともだと思う。
思うけれど、
そのことが映画としての面白さを減殺しているかというと、それは違う。

個人的には主演松ケンの芝居に非の打ちどころはない。
必要以上に気持ちの悪い軟弱内股青年と、
ステージ上でのSATSUGAIアーティストを見事に演じ分け切っている。
もう一人二役みたいなもんですよ。
にも関わらず、クラウザーの仮面の下に根岸の人格が混在しているのはなぜか。

答えは簡単で、実際にひとりの人間が演じているからだ。
そしてメガホンを取る李闘士男はおそらく、
意図的にその事実を観客に知らしめている。
根岸崇一が変身してまったく別人になってしまうジキル=ハイド的化物ではなく、
普通(そうでもないけど)の人間に他ならないのだということを、
印象として与えている。

それって結局、マンガでもアニメでもなく、
生身の人間が演じる実写映画として必要なリアリティなんじゃなかろうか。

私が感じた映画『デトロイト・メタル・シティ』の面白さは、
正しく生身の人間が演じていることに対するものだった。
松山ケンイチはもちろん加藤ローサも松雪泰子も細田よしひこも秋山竜次も、
大倉孝二も岡田義徳も高橋一生も、そしてジーン・シモンズさえも、
実に生き生きとしてんねん。

もっと言えば生き生きしすぎて松山ケンイチは松山ケンイチにしか見えないし、
加藤ローサはあくまで加藤ローサで、
デスレコーズの社長は松雪泰子以外の何者でもない。
不必要にエロくて格好良くて凄かった。
さすがハーレー乗り回すって噂の女優だよ。

そうだ。この映画が面白いのは、
それぞれの役者の持ち味を全面に押し出しているからなのだ。

しかしそれは同時に、
原作のキャラをある程度スポイルしてしまうことにもなる。
ぶっちゃけ松ケンは根岸君じゃないし、加藤ローサは相川さんとは思えない。
だって俺相川さん別に好きじゃないけど映画の加藤ローサには惚れたもん。
顔が出来て可愛くなったよローサ。

評価の分かれ目はその辺なんじゃないだろうか。
キャラに対する思い入れが強いと、どうしても違和感があるかもしれない。
加えて映画的な制約のためか毒はずいぶん薄められている。
それこそDMCに悪魔的なものを求める向きには物足りない部分もあろうよ。

でも、毒を薄めるということはイコール間口を広げることでもある。
エンターテインメントのあり方として、
一握りのファンにしか熱中できないものより、
10人中8、9人までが楽しめるものの方がやっぱり偉いがな。

なお、楽しめた側の人間として一言記しておくと、
本作は決して漫画の世界観をぶち壊したり踏みにじったりしちゃいないと思う。
根底にちゃんと原作尊重の精神が流れてるだ。
はいここ大事。テストにでますよ。

あと些細なことかもしれないけど、
デスメタルの帝王ジャック・イル・ダーク役として長丁場をこなしたジーン・シモンズとか、
原作に出てくる歌の作曲を快諾したカジヒデキとか、
こっそりギター弾いてるマーティ・フリードマンとか、
ロケ隊を歓迎する原作者の郷里の犬飼町の皆さんとか、
出演者も含めた色んな関係者のやる気とか好意みたいなものを感じてさ。
そういうのって最終的に出来上がるものに必ず反映されるべぇ~。
楽しいものは作る側も楽しまないと作れないべぇ~。

大森美香の脚本は王道中の王道な作りで、
ベタな展開もあるけど観客の興味を逸らさない。
104分の上映時間中、退屈せずに楽しめました。

よろしいんじゃないでしょうか。ええ。

写真は夜道で会った猫まんぢう。
【2008/09/21 16:19】 | 未分類 | page top↑
おしらせタヌキ
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版元さんのサイトで予約受付が開始されましたので、
情報解禁と判断してお知らせいたします。

「トーキョー博物誌 東京動物観察帳(1)」産経新聞出版
http://www.sankei-books.co.jp/books/title/9784819110235.html
シリアルは(1)ですが、
紹介文にありますようにこれは昨年出たものの続きです。
単行本未収録分20話+おまけ5Pという体裁になっております。
休刊の次の号に載るはずだった幻の巻頭カラーも初公開。

なにしろ既に媒体が存在しない連載の単行本なので、
読者の皆さんがどこで発売を知ることができるのかなんともいえない状況です。

しかしこのようにちゃんと形にして頂けたのは、間違いなく皆さんの応援あってのことです。
その感謝の意味を込めてのご報告。
改めましてありがとうございました。
そして、この本もどうかよろしくお願いいたします。

そういえば前巻のあとがきに描いて以来約1年、都内で2回タヌキに会いました。
先日会ったやつは夜の商店街をトコトコと横切り、
あまつさえ片足を上げて電柱にしっこ引っ掛けてました。

どんだけ街暮らしに順応してんねん、君。
【2008/09/15 17:01】 | 未分類 | page top↑
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