旅をする本
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ブッククロッシングという活動がある。
http://bookcrossing.jp/

自分の読み終わった本、あるいは皆に読ませたい本を、
公共の場所に置いたり他人に渡したりして旅立たせてしまおうという試みだ。
むろんそれだけだと普通にリサイクルで終わってしまう。
ブッククロッシングではそれぞれの本にURLと固有のシリアルを書き込み、
GETした人がサイトにアクセスし報告してゆくシステムを取っている。
すなわち"本の旅程"が追跡可能なのだ。
2001年、アメリカのロン・ホーンベイカー&香織夫妻によって始められ、
今んとこ世界で68万人が参加している。

たとえばこの本。
http://bookcrossing.com/journal/3705579
2年前にウィーンでgiven to a friendのかたちでリリースされたものが、
現在までにオーストリア国内で6人の手元を回っていることがわかる。
しかしドイツ語だねまったく。
もちろん日本の人が登録したものは日本語なのでご安心めされい。

つっても上記のサイトにあるようにわが国にはまだ3000ちょいしか会員がおらず、
また存在も知られていないため、なかなかスムーズには旅してくれない。
http://bookcrossing.com/journal/5723166
この東野圭吾『放課後』は昨年12月広島でリリースされ、
つい最近渋谷にやってきてますね。
旅してるなあ。

で、例によって某企画でこれに参加しようってことになって。
メンバーがそれぞれ「旅に出す本」を3冊づつ選び、リリースしました。
私が何を選んだのかはまだナイショです。
とりあえず2~3か月様子をみる感じで。
ぜんぶ行方不明になってしまう可能性もじゅうぶんあるしさ。

世界中の人に読んでもらいたい本、
皆さんならどんな3冊を選びますか。
【2008/07/27 22:34】 | 未分類 | page top↑
初夏のスピンクス
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この写真を撮ってたら、
メガネかけたC.W.ニコルみたいなヒゲオヤジに声をかけられた。
異人さんである。
日本語を操れないらしく、英語を操れない私と立場は対等だ。
対等だがコミュニケーションを取るのは難しい。

いくつかの要領を得ないやりとりの後、
「あれは何という蛾か知っているか」と聞いてきたのがどうにかわかった。
知ってはいるが英名まではわからない。
とりあえずジャパニーズはオオスカシバと呼ぶと答えた。

「オーオースーカーシーバ」
ヒゲオヤジは復唱し、やおらメモ帳を取り出すとペンを渡してきた。
ここに書けというらしい。
容易いことだ。
日本男児の誇りをもって「オオスカシバ」と大書する。
上にローマ字でohsukashibaとルビを振ったのは惻隠の情というやつだ。

おっちゃんは「オウおすかしーば」などと呟いて頷くと、
その下に読みやすいブロック体で"Sphinx Moth"と書き添えた。

「スフィンクス・モス」

そうだ、思いだした。
英語圏ではスズメガの仲間はスピンクス蛾なのだ。
ポオの短編にメンガタスズメを扱った「スフィンクス(死頭蛾)」という小品がある。

何だか嬉しくなってオウあいのうすふぃんくすモスと返すと、
彼は更にその下に"=Hummingbird Moth"と書き足し、
オオスカシバを指してにかーっと笑った。
なるほどホバリングしながら吸蜜する様子はハチドリそっくりである。
ハミングバード・モスとはよく言ったものだ。

言葉は大して通じなかったが、
異国のおっさんと日本のおっさんは、
青空の下で同じ一匹の蛾を眺めて仲良くニコニコしていたのだった。

平和だね。
【2008/07/02 01:54】 | 未分類 | page top↑
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